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地域別経営支援センター
日本経営士会とは

経営士の誕生

1.解題
2.経営顧問の発達
3.国の産業政策と経営顧問
4.経営士制度の創生に関する問題点
5.経営士会の職能
6.経営士発達の環境と基盤

5.経営士会の職能
 かくして、日本経営士会は成立したのであるが、その成立の目的を、次の如く掲げておる。(定款第3条)
 『日本経営士会は、経営管理の指導を職業とする個人をもって組織し、会員の品位と実力とを高め、かつ会員相互の連絡と協カとを図り、後進を導き、社会―般にこの職業の有益なことを知らせ、わが国産業の発達に役立たせることを目的とする。』

 経営士会は、その成立の性格上、3つの主たる目的を持っていることになる。

 1は、経営管理の指導を職業とする経営士の協同団体として、経営士の連絡協同並びに社会的弘報を行う。即ち職業団体としての協力の職能である。この為には、報酬標準を制定し(5)、情報の提供を行い、また、内外の関係学会、協会及ぴ諸機関との連絡並びに協力を行うことになっておる。

 2は、経営士の信用を保持し、経営士制度の健全なる発達を図る為に行う信用保持の職能である。この為に、経営士の資格選考を行い(6)服務要綱を定めておる(7)。即ち、経営士としての職務倫理基準(Code of Ethics)の制定である。また、職務倫理士好ましからざる人物の排除を規定しておる。(定款第12条)

 3は、共同研究並ぴに後進の養成、即ち研究の職能である。

 以下その主なる点について略述して見たいと思う。

 アメリカのマネージメント・コンサルタント協会(Management Consultant Association)に於いては、会員の能力、素養及ぴ経験を基礎として、これを4段階に分っておる。即ち(1)スーパーヴァイズィング・シニアー(Supervising Senior)、(2)シニアー(Senior)、(3)インターミディエィト・シニア(Intermediate Senior)、(4)ジュニアー(Junior)である。わか国の経営士会に於いては、正会員を、A級、B級、C級に分ち、外に準会員を設けることとなった。なほ、わか国に於いては、職業的経営士が確立していない現状に鑑み、能カ、素養及び経験を持ってはおるが、他に本職を持っておる人達、即ち非開業会員を認めることとし、別にこれを特別会員とする制度を設けた。経営士会は、個人の団体となっておる。これは前述するか如き理由により、必ずしも好ましいことではない。蓋し、経営士の業務を本格的に行うとすれは、多人数が、団体成は法人を結成して、組織を有して、集団として業務を行う必要があるのである現に現在に於いても、わが国の有数なる経営士事務所は、研究所或は協会の形となっておる。また、国立または公立の研究所或は指導所として業務を行っておる例が多いのである。しかし、官公立のものは、自ら「業とする」と称することを得ないわけであるし民間のものといえども、この種の組織的のものを除けば、却って弱体化することとなり、また組織的経営士業は、末だ―般的でもないからこの際は個人を単位として経営士会が成立することとなったのである。しかし、この種の経営士業の本来の目的とする団体に属する個人は、特別会貝とはせず、正会員となることになっておるのである。

 入会の申込は一般から受付けておるが、別に設ける選考委貝(定款第14条、第15条)によって、学力、人格、過去の実績及ぴ実務の経験の4つの評定項目に基いて級別に分ける(6)のである。

 民間団体としてのこの級別を分けることは、甚だ困難なる事柄であるが、それを適正に運用し得るか否かがこの制度の将来の試金石となるであろう。しかし、いやしくも経営士ともあろうものが、この評定を適正に行い得ずとすれば、そのこと自身が経営上自身の能力の欠如を示すものと云い得るのである。しかしまた、この制度にして成功したりとすれば、他日、法制的に、経営士認定制度が確立する確固たる基盤を築くことになるであろう。筆者自身も、かつて計理士法の制定に参与したる経験を持つのであるが、なかなかその適正なる制定は困難であった。後にその弊害にも鑑み、改めて、公認会計士制度が作られることになったのであるが、これとても、なかなか困難なる事情が頻発して、公認会計士法公布後僅かに3年にして、既に十数回の改正を行うという記録的難航を経験して来ておる。経営士制度もその完成までに幾多の困難が予想されるのであるが、希くば、健全なる発達を遂げて欲しいものである。

 注(5) 報酬基準の制定は、利害関係の錯索する問題であるからそれ自身大なる研究問題である。しかし、現在は第1条に次の如き3項目を認めておる。(1)1日当りまたは月ぎめの報酬、(2)特定契約による報酬、(3)損益計算の配分による報酬。

 第(1)の1日当りの報酬は、A級、B級、C級によって、これを区別し、別に準会員または補助者の報酬を定めておる。(報酬規定第2条)この点に問題があるが、これを緩和するものとして、Mの特定契約が利用し得るわけである。

 (3)の成功報酬は最も理論的なる問題を含む規定である。即ち、「従事した年数を限度として、従来の益金から超過した益金の1割以上の額とする(報酬規定第3条)。」とある。この定め方の当否は別として、大体成功報酬制度を妥当とするや否やが既に問題を含む。この定め方は、俗耳に容り易く、また依頼者が払い易いのであるが、米国の論者に於いても、(例えば、American Management Association の Managing Director である W.J.Donald の論ずる所、 Havard Business Review,Jan.1927)経営士の職務上との成果は、必ずしも、利潤によって測定せられるものでないとなすのであって、止むを得ないことではあるが、この点が将来の問題を残すであろう。

注(6) 資格選考は、学カ、人格、過去の実績及ぴ実務の経験を標準とする(定款第16条)。この中学力は、原則として経営士の業務に必要なる大学教育を受けた者、またはこれと同等と認められた者となっておる。技術士の場合には、級別がないから甚だ厳格にこれを運用し、大学卒業後5年以上、年令35 歳以上とする程度に運用しておるらしく見える。経営士の場合は、級別があるから、多少運用によって解決ができる。人格の条項は、選考委員会及ぴ理事会が特に欠点を指摘しなかった者となっておる。

注(7) 倫理規定は、アメリカに於いては、甚だ厳格に行われておる。イギリスの如きは、多年の発達により、社会的慣習ができ上っておるから便宜であるが、わが国の場合は、恐らく運用上困難な問題が起るのであろう。

 現在の規定では7項目定められておる。要点は、(1)技術の向上、品性の陶冶と共に責任感を規定する。(2)は依頼者の正常なる利益の擁護と職務上の秘密の保持、(3)は責任権限の契約的決定、(4)同業者及び職務の名誉の保持、(5)専門分野の明確化と不正競争の排除、(6)技術的権威と良心的行動、(7)他の専門家及ぴ技術者との協カの規定である。